市況レポート Vol.356
2026.10.20
長雨から秋晴れへ。需要回復の一方、品薄・高値相場が続く切り花市場
【市場概況】天候回復とともに秋の花需要も復調傾向へ
9月から長く続いた曇天や雨天がようやく落ち着き、秋らしい晴天が戻るとともに、切り花の消費にも回復の兆しが見え始めています。
9月下旬は、長雨による客足の鈍化や月末の在庫調整などから、量販店を中心に慎重な仕入れ姿勢が続き、市場全体の荷動きは低調に推移しました。しかし10月に入り天候が回復すると、専門店を中心にダリアやバラなどの秋商材への引き合いが強まり、スポーツの日を含む三連休に向けて婚礼や各種イベント需要も活発化しました。
特にブライダル需要は堅調で、業務店では欠品商材の確保や納品調整が必要となる場面も見られました。また、一部地域では葬儀需要も強く、週末に向けた補充需要が市場を下支えしました。
一方、生産現場では9月の長雨や日照不足による生育の遅れ、品質への影響が残り、全国的に入荷量は少なめの状況が続いています。需要の回復と供給不足が重なり、10月に入って切り花相場は上昇。三連休前の10月9日(金)には高値のピークを迎えました。その後もバラやガーベラ、モカラなどの主力洋花は品薄感が強く、量販店では価格を考慮した代替商材への切り替えも進んでいます。
長引く物価高によって消費者の購買意欲には依然として慎重さが見られますが、天候の回復とともに花の需要にも明るい兆しが見えてきました。
【品目別入荷動向】長雨の影響が残る中、暖地産への切り替わりが進む
これからの季節は、東北産地から暖地産地へと出荷の中心が徐々に移り変わります。産地の切り替わりによる数量や品質、相場の変動にも注意が必要です。
菊類: 白菊の入荷量はおおむね横ばいで推移する見込みですが、黄菊は東北産地の出荷減少に伴い減少する見通しです。小菊は数量的には横ばいながら、前年に比べて高値傾向が続いています。ディスバッドマムやスプレーマムは、11月6日の「いいマムの日」に向けた出荷計画の関係から当面は入荷が少なめとなる見込みのため、早めの商品確保をおすすめします。
バラ: 暖地産の出荷が徐々に増加してきていますが、婚礼や業務用途を中心に引き合いが強く、引き続き品薄や高値に注意が必要です。
カーネーション: 愛知県や千葉県など暖地産地からの出荷が始まっています。現在は30~40cm程度の短めの規格が中心ですが、今後の入荷増加が期待されます。
トルコギキョウ: 東北産地の気温低下などの影響もあり、入荷量はおおむね横ばいの見込みです。
ガーベラ: 引き続き需要が強く、品薄・高値傾向が続いています。特に個性的な花形やニュアンスカラーの品種は、秋の花束やアレンジメントのアクセントとしておすすめです。
モカラ: 国内での引き合いが強い一方、主要産地である台湾でも降雨の影響によって出荷量が減少しており、品薄傾向が続いています。
球根類: おおむね横ばいの入荷見通しです。
草花類: コスモスの入荷が徐々に増えており、今後ピークを迎える見込みです。一方、ブルースターは曇天による花飛びなどの影響で入荷が少なく、その他の草花についても、生育の遅れや傷みによって全体的に出荷量が抑えられています。
【秋から初冬へのおすすめ花材・商材】旬の表情と個性を生かす
1. 季節の移り変わりを彩る定番・注目花材
これからのおすすめは、山形県産を中心に出荷が始まったストックです。徐々に入荷量が増える見込みで、ふっくらとした花穂と優しい色合いが秋から冬への季節の移り変わりを感じさせます。日常使いの花束から季節のアレンジメントまで幅広く活用できる花材です。
また、大分県産のヤマジノギク「TOYOロマン」にも注目です。アスターの仲間に分類される素朴な草花で、自然な風合いを生かしたナチュラルなアレンジメントにおすすめです(※取り扱いは一部市場に限られます)。
11月6日の「いいマムの日」に向けては、飛騨産のディスバッドマムがおすすめです。近年のマムは花色や花形が豊富で、従来の仏花のイメージにとらわれず、モダンな花束やインテリアフラワーにも取り入れやすくなっています。一輪でも存在感があり、日常の暮らしに飾る花としても最適です。
2. 深まる秋を表現する紅葉・着色枝物・グリーン
秋のディスプレーやアレンジメントに深みを与える紅葉枝物や着色素材も充実してきています。
紅葉雪柳・紅葉チョウジソウ: 自然なグラデーションと繊細なラインが美しく、秋らしい深みとシックな表情を演出できます。
紅葉ヒペリカム・紅葉色アイビー: 葉の美しい色づきがアレンジメントのアクセントとなり、少量の仕入れでも季節感をしっかり表現できます。
染めファーガス: 落ち着いた秋色の発色が美しく、長持ちするため、季節のディスプレーや店内装飾の土台としても重宝します。
3. 色彩と質感で変化をつける個性派花材
秋らしい花束やアレンジメントのアクセントとして、個性豊かな花材を取り入れることで表現の幅が広がります。
ケイトウ「デリーパール」: 優しいサーモンピンクのトサカケイトウ。独特の質感と柔らかな花色が魅力で、秋のニュアンスカラーの花束にもよく合います。
スカビオサ「フリフリランダー2」(寺尾さん生産): グリーンの色合いが強く、紫とのコントラストが美しい品種。繊細な花姿と個性的な色合いがアレンジメントに奥行きを与えます。
ガーベラ(パスタ系・スパイダー系): 黄色の「パスタ ザフェラーノ」、ピンクとクリームの複色が美しい「レベルタイフーン」、優しいクリーム系の「クリームスプリングス」など、花びらに動きのある品種を組み合わせることで、いつもとは少し違った表情を楽しめます。
染めフジバカマ(ユーパトリウム): マキシムのブルーやパープルがおすすめ。繊細な小花と鮮やかな色彩が、草花アレンジメントに新鮮な印象を与えます。
ベビーコーン: 枝についた小さな黄色いトウモロコシが可愛らしく、収穫の秋を感じさせるユニークな商材です。
4. 出荷終盤の季節限定商材と「実りの秋」提案
秋の終盤を彩る花材として、岩手県安代産の八重リンドウ、山形県庄内産の野バラ、長野県産のシンフォリカルポスが出荷終盤を迎えています。八重リンドウの華やかな花姿や、野バラ・シンフォリカルポスの上品な実ものは、この時期だけの限定商材です。
また、9月28日の「かぼちゃ大市」では入荷数の減少から単価上昇が見られたものの、直近の店舗現場ではハロウィン商材の動きはやや慎重な推移となっています。
そのため、単なるイベント需要にとどまらず、カボチャに野バラ、シンフォリカルポス、各種紅葉枝物、ケイトウ、ベビーコーンなどを組み合わせ、「収穫の秋」「実りの季節」「秋の自然を暮らしに取り入れる」 といった幅広く長い期間楽しめるテーマで提案することをおすすめします。
【フローラルジャパンからのご提案】旬の花材を上手に取り入れ、秋の需要をつかむ
長雨から秋晴れへと天候が回復し、切り花の需要にも徐々に明るい兆しが見え始めました。しかし生産現場では天候不順の影響が残っており、入荷量の減少や高値相場が続く商材も少なくありません。物価高による消費者の節約志向が続く中、小売店にとっては販売価格と商品価値のバランスがこれまで以上に重要になっています。
こうした時期こそ、比較的高価な主力洋花だけに頼らず、旬の草花や実物、紅葉枝物を上手に組み合わせた商品づくりをおすすめします。例えば、少量のバラやダリアにコスモス、ケイトウ、野バラや紅葉雪柳などを添えることで、季節感とボリュームを両立させながら、幅広い価格帯の商品を展開できます。
また、秋から冬への季節の変わり目は、暮らしの中に花を取り入れる提案にも適した時期です。日が短くなり室内で過ごす時間が長くなるこれからの季節、花やグリーンを飾ることで室内に彩りや安らぎを添え、気分転換や心地よい生活空間づくりにもつながります。
イベントや贈答用だけでなく、「自分のために飾る花」「毎日の暮らしを豊かにする花」として、少量から気軽に楽しめる日常使いの花を提案していきたいものです。11月6日の「いいマムの日」に向けた販売企画も、新たな需要を生み出すきっかけとして期待されます。
相場が不安定な時期には、必要な花材を必要な数量だけ仕入れ、在庫や廃棄のリスクを抑えることも大切です。フローラルジャパンでは、今後も市場の入荷状況や産地の動向を見極めながら、季節のおすすめ花材や代替商材をご案内してまいります。秋ならではの豊かな色彩や実りの表情を生かし、消費者の皆さまに花のある暮らしの魅力を伝えていきましょう。

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