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市況レポート Vol.350

2026.05.11

今年の母の日ウィークは、全体的に入荷が少なく、単価の高い「物日相場」となりました。特にカーネーション、シャクヤク、バラを中心に引き合いが強く、母の日らしい動きが見られた一週間でした。

カーネーションについては、天候不順の影響により国産の出荷量が減少しました。さらに、昨年の販売不振を受けてコロンビア産の入荷量も絞られており、現地の天候不良や延着の影響も重なって、全体的に少なめの入荷となりました。一方で、中国産カーネーションの入荷は増加傾向にあり、国産・コロンビア産の不足分を一部補う形となりました。

母の日直前の金曜日のセリでは、赤のカーネーションが最高値280円をつける場面もあり、今年のカーネーション相場の強さを象徴する動きとなりました。全体として、カーネーションの平均単価は昨年よりも約10円高で推移しており、仕入れ面では厳しい年だったと言えます。

母の日商戦の動きとしては、4月24日頃から徐々に荷動きが始まり、GWスタートの日、母の日の前日・当日は小売店の店頭も賑わいを見せました。天候にも恵まれたことで、速報ベースでは昨年を上回る売上となった店舗も多く見られます。

今年は、単なる自家需要やついで買いではなく、「ギフトとしてきちんと贈り物をしたい」という消費者マインドが強く表れた印象です。そのため、専門店や小売店の店頭販売は比較的好調でした。

一方で、スーパーや量販店の動きはやや鈍く、販売チャネルによって明暗が分かれました。また、人手不足の影響から、注文数や受注量をあらかじめ抑えた店舗も多く見られました。加えて、ギフト配送については配送料の値上げの影響が大きく、配送注文が半減したという声もあり、今後の母の日商戦における課題となりそうです。

母の日ウィークの平均単価は、2024年が75〜85円前後だったのに対し、2026年は88円~95円といった水準で推移し、例年よりも高めの相場となりました。売上は伸びた一方で、仕入れ価格の高騰により、利益面では薄利となった可能性があります。

 

 

今後の見通しとしては、母の日が終わり、市場全体としては一段落する時期に入ります。今後は各産地で改植が始まることもあり、しばらくは端境期らしい品薄感が続く見通しです。

輪菊は白菊が減少傾向、小菊はやや増加傾向となっています。カーネーションは暖地産が減少・終了に向かい、6月の高冷地産が始まるまでは一時的に出荷が落ち着く見込みです。バラについては、来週以降は比較的潤沢な入荷が見込まれます。

ユリ、カスミ草、スターチスは横ばい、アルストロメリアは減少傾向です。草花類はやや前進気味で、季節の移り変わりが早く感じられます。今後は、初夏商材としてヒマワリ、シャクヤク、グリーン、白系花材への引き合いが徐々に強まっていきそうです。

また、原油高やナフサ不足の影響により、生産地ではスリーブ不足が発生し、一部ではスリーブなしでの出荷も見られています。今後はマルチやPPバンドなどの資材不足も懸念されており、花材だけでなく包装資材・出荷資材の動向にも注意が必要です。早期の国際情勢の安定と、原油の安定供給が望まれます。

 

 

6月2日はローズの日

バラの魅力は「美しさ」から「香り・研究の広がり」へ。今週は入荷減少が見込まれるものの、徐々にバラの季節へと移っていきます。6月2日の「ローズの日」に向けて、店頭でバラフェアを企画する店舗も見られます。

バラは、母の日明けから6月にかけて改めて提案しやすい商材です。色や本数によるギフト提案はもちろん、近年は香りや含有成分に関する研究も進んでおり、従来とは違った切り口で紹介できる花材として注目されています。

京都大学・筑波大学の研究では、バラ精油の香りを継続的に吸入することで、記憶に関わる脳領域に変化が見られたことが報告されています。また、サウジアラビア・ターイフ大学などでは、ダマスクローズ由来の抽出物が癌細胞に与える影響についての基礎研究も行われています。

ただし、これらは人への認知症予防や癌予防の効果を直接示すものではなく、あくまで研究段階の知見です。販促の際には、医療効果を断定するのではなく、「バラの香りや成分について、世界各地で研究が進められている」という紹介にとどめるのが適切です。

バラは、美しい見た目、華やかな香り、贈り物としての特別感を兼ね備えた定番花材です。さらに、香りや成分への関心が高まる中で、“心を満たす花” “香りを楽しむギフト”として提案することで、ローズの日に向けた新たな価値づけができます。

母の日後の売り場づくりでは、カーネーション中心の展開から、シャクヤク、ヒマワリ、グリーン、そしてバラへと季節感を切り替えていくことがポイントになりそうです。

 

おすすめ商材

シャクヤク

今後も引き続き主力商材です。開花した時の華やかさがあり、母の日後のギフト需要、ブライダル、レッスン花材にも向いています。初夏の売り場づくりでは、バラやグリーンと合わせた提案もおすすめです。群馬県・黒岩地区、カンナ富岡シャクヤク園より、コーラ・ルイーズ、一重咲き、ブルーサファイヤなどが入荷しています。母の日以降も引き合いが強く、初夏の主力商材としておすすめです。大輪で存在感があり、ギフト、店頭装飾、生け込みにも使いやすい花材です。

セロシア「チロル」

シャロンのミニバンタイプで、淡いピンク系のやさしい色合いが特徴です。初夏らしい軽やかさがあり、アレンジや花束のアクセントに使いやすい商材です。

クレマチス

引き続きおすすめです。ベル咲きやニュアンスカラーの品種は、ナチュラル系の花束や店舗装飾に取り入れやすく、季節感のある提案ができます。「ラムトンパーク」長野県・福沢さんより入荷。黄色のベル咲きで、香りのあるクレマチスです。80cm前後で、価格は400円前後から。ナチュラルな雰囲気の花束や、季節感のある生け込みにおすすめです。

マリーゴールド染めピンク

角田さんより入荷。染めですが水が汚れにくく、扱いやすい商材です。クリームとピンク系の珍しい色合いで、売り場の目を引くアクセントになります。

ハイブリッドチース

北海道・岩見沢、長野、北海道産など、高冷地の産地からの入荷が期待されます。これからの時期、花持ちやボリューム感の面でも使いやすく、アレンジ、仏花、店頭販売のいずれにもおすすめです。

ベビーハンズ

グリーン需要が高まるこれからの時期におすすめです。爽やかな印象を出しやすく、初夏の花材との相性も良好です。