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市況レポート Vol.349

2026.04.22

入社式、入学式需要がひと段落した後の市況は、全体としてやや弱含みの展開となりました。
売り場では、スナップ、ストックといった春商材に加え、シャクヤク、紅花、クレマチス、カンパニュラ、花付き枝物など、初夏を感じさせる商材も増え始め、春と夏の商材が混在する端境期らしい様相でした。入荷量は昨年よりやや少なめで、ブライダル、スーパー量販の引き合いも総じて控えめでした。

一方で、月前半はガーベラ記念日需要が下支えとなり、ガーベラには一定の動きが見られました。また、4月は偶数月で15日に年金支給日が重なることから、仏花需要も比較的しっかりしており、白菊、黄菊など輪菊類には安定した引き合いが入りました。輪菊は潤沢な入荷で、全体の下支え役として機能しています。

足元ではすでにGW、そして母の日に向けた提案と準備が本格化しています。
今年2026年のGWは、JTBによると国内旅行は「短期間・近場・自家用車利用」が増える見通しで、費用を抑えながら無理なく楽しむ動きが強いとされています。その一方で、海外旅行も回復が進んでおり、海外旅行者数は前年比108.5%、行先は韓国、台湾、東南アジアなど3泊~5泊の近距離方面が中心です。HISでも海外旅行予約者数は前年比126.7%と好調で、近距離アジアの値ごろ感需要と、長期休暇を活かした遠距離旅行需要の二極化が見られるとしています。

このため、今年の母の日需要は、これまで以上に“当日一点集中”ではなく、外へ出る人と家で過ごす人の分散型需要として捉える必要がありそうです。実際、JTBでは旅行に行かない理由として「GWは混雑するから」「旅行費用が高いから」「家計に余裕がない」が上位に挙がり、「家でゆっくりしているから」は前年より増えています。遠出を避ける層、近場で過ごす層、自宅時間を楽しむ層は今年も一定数存在するとみられ、母の日ギフト需要や、帰省時の「母の日参り」需要を丁寧に拾える余地は十分にあります。

一方で、教育・保育の現場では、従来のように「母の日」「父の日」をそのまま学校行事として扱わない流れが、日本でも徐々に広がっています。毎日新聞は、幼稚園や保育所で「母の日」「父の日」の代わりに「ファミリーデー」「家族の日」を設けるケースが増えていると報じています。背景には、ひとり親家庭、祖父母養育、再婚家庭、里親家庭など、多様な家族形態への配慮があります。

ただし、海外ではこの流れは必ずしも「母の日・父の日をなくす」方向ではありません。米国のWelcoming Schoolsや、オーストラリアのRainbow Familiesでは、母の日・父の日を残しながらも、すべての子どもが参加できる形へ言い換え、広げていく実践が提案されています。たとえば、カードや制作物の宛先を「お母さん限定」にせず、「大好きな人へ」「ありがとうを伝えたい人へ」とすること、各家庭がどう祝いたいかを事前に確認すること、子ども自身が感謝を伝えたい相手を選べるようにすることなどです。つまり、海外では“やめる”のではなく、“対象を広げて残す”ことで行事の意味を保っている例が多く見られます。

この変化は、花き業界にとっても見過ごせません。
教育現場で母の日・父の日の露出が減れば、子ども経由で家庭内に自然発生していた需要喚起は弱くなります。だからこそ今後は、「お母さんにカーネーションを贈ろう」という従来型の訴求だけではなく、“ありがとうを伝える花”としての提案へ少し主語を広げていくことが重要になりそうです。
「育ててくれた人へ」「いつも支えてくれる人へ」「家族にありがとうを伝える花」といった表現であれば、現代の家庭事情や教育現場の空気にもなじみやすく、母の日の価値そのものを損なわずに裾野を広げることができます。帰省需要がある年ほど、「母の日参り」「祖母へ贈る花」「家族への感謝の花」といった複線的な提案が生きてくるでしょう。これは日本で十分に実践可能な方向性といえます。

また、花き業界では近年、「母の日」一極集中を避けるために、5月を通じて感謝を伝える「母の月」提案も定着しています。日本花き振興協議会は2020年から5月全体で需要を受け止める取り組みを打ち出しており、販売現場でも現在もその考え方が案内されています。旅行や帰省の動きが分散しやすい今年は、当日売り切りだけでなく、5月を通した提案の方がむしろ現実的かもしれません。

商材面では、近年注文を集めている染め花の流れはカーネーションにも及んでおり、とりわけ自然界に少ない青系は引き続き注目されそうです。SNSにおける画像研究では、色彩構成がエンゲージメントに影響し、画像特性によっては青の存在が反応に寄与することが示されています。青系の染めカーネーションや、青みを帯びた差し色商材は、母の日売り場に“今っぽさ”と視覚的なフックを加える提案として引き続き有効でしょう。

さらに、輸入商材については地政学リスクも無視できません。HISは中東情勢の緊迫化により、一部空域や空港の閉鎖、中東系航空会社の欠航、原油高による燃油サーチャージ上昇の懸念を示しています。Reutersもイラン情勢が原油・石化関連コストを押し上げていると報じており、輸入花材だけでなく、ハウス用ビニール、包装資材、タグ類などのコスト上昇にもつながり得ます。輸入商社が委託分の出荷に慎重になる見通しも踏まえると、母の日向けの企画商材、染め商材、輸入物は早めのオーダーが安心です。

今後の見通しとしては、菊は横ばいながら白菊潤沢、SP菊は増加予定。バラは高冷地物が増加傾向で40cmクラスが目立ちそうです。カーネーションは来週から増量予定で、水・金にかけて単価上昇見込み。アルストロメリアはピーク圏で今後微減、ユリは横ばい、シャクヤクは増加。ヒマワリは前進開花で母の日週はやや薄め、ガーベラは改植で減少、枝物は前進気味で、ライラックは終盤、クルクマは5月3週からの入荷予定です。
全体としては、仏花の安定需要を土台にしつつ、母の日、母の月、母の日参り、そして“感謝を伝える花”までどう幅広く提案できるかが、これからの売り場づくりのポイントとなりそうです。

 

おすすめ商材

今週のおすすめは、春のやわらかさを残しながら、少しずつ初夏の気配を感じさせる品目が中心です。母の日提案、季節の売り場づくり、通常需要の差別化まで幅広く使いやすい顔ぶれが揃っています。

マーガレット「シュガーストロベリー」
可愛らしいピンクが印象的で、売り場をやさしく明るく見せてくれる品種。母の日に向けたやわらかな提案にも使いやすく、出回りは5月中下旬頃まで楽しめます。

オダマキ
可憐な花姿と自然な揺れ感が魅力。ナチュラルな花束やアレンジに季節の移ろいを添えられる一品です。

都忘れ
落ち着いた紫系の色味と和の趣が魅力。春から初夏への端境期に、上品で静かな季節感を表現できます。

スイートピーの種「クロワッサン」/角田さん
話題性のある提案商材としておすすめ。切り花とは違った切り口で、店頭での会話のきっかけもつくりやすい品目です。

枝スイートピー「アズレウス ブルー」
可憐なつるの動きと青みのある表情が魅力。軽やかで今っぽい雰囲気をつくりやすく、40cm前後で扱いやすいのもポイントです。

大輪フリージア(鶴岡)
40〜50cm中心で、赤、濃ピンク、白、黄色と色幅も豊富。華やかな大輪と香りで、春の終盤売り場に存在感を出せます。

フロックス「クリームブリュレ」
やさしいクリーム系の色味が魅力。柔らかな売り場づくりや、母の日周辺のニュアンスカラー提案に相性の良い商材です。

ゴテチャ
軽やかで可憐な表情があり、春らしさを残しながら初夏へつなぐ役割を果たします。花束にもアレンジにも使いやすい品目です。

アゲラタム
ふわっとした質感で、やさしい空気感を演出できる花材。ブルー〜パープル系の差し色としても使いやすく、売り場に抜け感をつくれます。

ハイブリッドチース「クラッシックブルー」
まとまって咲くタイプで、くすんだラベンダー系の色味が今の気分に合う商材。ナチュラルにもシックにも振りやすく、提案の幅があります。

クリスマスローズ
落ち着いた色味とシックな雰囲気が魅力。華やか一辺倒ではない、奥行きのある売り場をつくりたい時におすすめです。

カスミ草
定番ながら、ボリューム感と軽さの両方をつくれる安定商材。母の日向けのやさしい花束から、染めやニュアンス提案まで幅広く活躍します。

ケイトウ「キャッスル」
しっかりとした花形で存在感があり、売り場に立体感を出しやすい品種。初夏らしい力強さを先取りしたい時におすすめです。

丹頂アリアム
個性的なフォルムで、ひと目で印象に残るアクセント商材。デザイン性の高い提案や、売り場でのフック役としても効果的です。

ピンクッション
発色が良く、売り場でよく映える人気商材。異素材感を楽しむアレンジや、元気のある色提案に向いています。

サンダーソニア
潤沢入荷とのことで、この時期しっかり提案したい商材。ベル状の花が可愛らしく、ナチュラルにも上品にも使える万能さがあります。

カンガルーポー(国産)
独特の質感と動きがあり、個性的な花束やアレンジの差別化におすすめ。国産ならではの安心感も提案しやすいポイントです。

ストレチア
シャープなラインと強い存在感が魅力。大きな生け込みや空間装飾向けに、初夏の空気を先取りできる商材です。

菖蒲
季節感が明快で、端午の節句や和のしつらえにも好相性。凛とした表情があり、和洋どちらにも取り入れやすいです。

セダム
グリーンの質感づくりに便利で、ナチュラルな束や今っぽい抜け感のあるアレンジに重宝します。脇役ながら使い勝手の良い品目です。

スノーボール
初夏の入口を感じさせる人気枝物。グリーンのボリューム感があり、爽やかな季節提案にぴったりです。

姫リョウブ
繊細な枝ぶりで自然な動きを出しやすく、枝物需要が高まる時期に使いやすい一品。ナチュラルな表現におすすめです。

銀葉グミ
シルバーリーフの質感が魅力で、売り場に抜け感と洗練を与えられます。ナチュラル、シック、初夏の涼感提案まで幅広く対応できます。

カーネーション注目品種
母の日に向けては、定番色に加えてニュアンスカラー系も面白くなってきています。
「ソルベ」はアプリコットクリーム系でやわらかく、「ハッピーティー」はクリーム地に縁ピンクのやさしい表情。「ドレープ」は紫系の深みがあり、落ち着いた売り場におすすめです。
また「ミスファビュラス」「ミスディープ」などのミスシリーズは、紫系を軸にしたシックな流れがあり、近年の“甘すぎない母の日提案”にもよく合いそうです。