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市況レポートVol.342

2025.11.09

10月に入り、物価上昇や円安基調の影響が続いています。燃料費や包装資材の高騰が物流コストを押し上げ、市場全体にコスト負担感が広がる中で、花の実需にも少なからず影響が見られます。本来であれば気温が下がり日持ちが良くなる時期ですが、今年は急な冷え込みもあり、小売りの動きはやや鈍い印象です。

一方で、お月見関連の動きは好調。ブライダルは3連休を中心に堅調に推移し、白系花材の単価が高めで推移しています。葬儀関連はやや軟調です。相場としては昨年に比べて落ち着いているものの、昨年は入荷量が少なく市場開場以来の最高値を記録していたため、買い手には依然として「高値感」が残っているようです。

政府による経済対策や賃上げムードが続くなか、消費マインドは徐々に回復傾向にありますが、生活防衛意識は根強く、花の購買行動にも“プチ贅沢”志向が見られます。そのため、季節を感じられるケイトウ、リンドウ、リシアンサス、紅葉木苺、野ばらなど、秋らしい花材の引き合いが強くなっています。気候が安定し、日持ちが良くなってきたことで、バラやガーベラといった定番品も堅調な売れ行きです。
ただし、高冷地産地では10月29日に霜が降りて以降、入荷が減少傾向にあり、出荷終了を迎える動きも見られます。

11月は中旬にかけて、クリスマスレッスン用のヒバ・杉類、ヤシャ、ドライ素材などが動き出す時期です。コスト上昇の中でも、長く楽しめるグリーンやドライ素材は依然として人気が高く、需要は堅調に推移すると見込まれます。

季節のおすすめとしては以下の花材が注目です。

  • コデマリ・ピンクアイス … 紅葉が美しく、秋の枝ものアレンジに最適。

  • マリーゴールド・ストロベリーブロンド … レンガ色の落ち着いたトーン、ショートサイズで扱いやすい。

  • 旅人の木 … 青く輝く種が印象的で、ディスプレイにも映える素材。

  • ディスバット系(エンバー/レンガ色、ウィズダム/赤紫、サーモン) … 秋の深まりにぴったりのニュアンスカラーが人気。

急な寒暖差のなかでも季節は確実に冬支度へ。秋色から冬素材へのバトンが渡り始めています。