フローラルジャパン

フローラルジャパンタイムス

フローラルジャパンタイムス

市場の最新レポートをどこよりも早くお届けします。

お問い合わせ

市況レポート Vol.348

2026.04.03

 

3月末の市況は、前年を大きく上回って見えるますが、これは昨年3月下旬以降に相場が大きく崩れた反動による部分が大きく、実勢としては3月20日頃をピークに、なだらかに例年並みの水準へ戻った印象です。卒業式需要後はいったん動きが鈍ったものの、昨年に比べれば全体としては売れたと見られます。

4月に入ると入荷量は増加し、1日以降は値崩れ傾向となっています。気温の上昇により草花類は前進傾向で、スイートピー、ストックなどの春商材は終盤から終了へ向かっています。一方、来週以降はシャクヤク、さつき、コーラル系などが入り始め、ヒマワリも増加傾向となる見込みで、市場は徐々に夏商材へ移行していく見通しです。

品目別では、輪菊は横ばい、バラは高冷地産の短めの規格が増加、カーネーションは減少見込み、アルストロメリア、球根類は横ばいの見通しです。ケニア産バラは別ルートで通常入荷となっており、現時点では大きな混乱は見られていません。

今後は入学式需要は見込まれるものの、その後は全般に鈍い動きが予想されます。4月は閑散期にあたるため、店頭ではイベント訴求を絡めた提案が有効と考えられます。4月5日のイースター、8日の花まつり、14日のオレンジデー、18日のガーベラ記念日、22日のアースデイ、23日のサン・ジョルディの日など、4月は売場づくりのきっかけになるイベントが意外に多くあります。イースターなら白や黄色、パステルカラーで春らしく、花まつりならやさしい色合いの草花や枝物で季節感を演出しやすく、オレンジデーはオレンジやアプリコット系の花を中心にした提案がしやすいタイミングです。ガーベラ記念日は色数の豊富さを生かした華やかな売場づくりに向いており、アースデイはグリーンやナチュラルな素材感を前面に出した訴求とも相性が良さそうです。サン・ジョルディの日も「本と花を贈る日」として、小さな花束や気軽なギフト提案に活用できそうです。

また、母の日商戦に向けた準備も早めに進めたいところです。母の日向けカーネーションは、商社が輸入量を絞る予定であり、例年以上に事前注文の重要性が高まる見通しです。その他の輸入品についても、コスト高の影響から、見込み仕入れより受注対応を重視する流れが強まると見られます。定番色に加え、関連商材も含めた早めの手配が必要になりそうです。

今後の懸念材料としては、中東情勢に伴う原油高の影響が挙げられます。長引けば、生産面では加温費や資材費、流通面では輸送コスト、販売面では価格転嫁の難しさや買い控えにつながる可能性があります。イスラエル産については減便の影響が出ており、タラスピ、グレビレアなどネイティブ系商材は週1回程度の入荷に減少しているため、必要商材は早めの確保が望まれます。

昨年3月下旬以降の値崩れについては、大手量販店や販売店による市場外流通を含めた事前確保、輸入品の増加、国内産地の出荷集中が重なったことが一因と考えられます。市場の外と中で数量が見えにくいまま供給が積み上がると、需要が少し鈍っただけでも相場は崩れやすくなります。加えて、市場外で数量を確保しながら、相場状況によって再び市場内流通へ戻すような動きが繰り返されると、需給の全体像がさらに見えにくくなり、価格形成を不安定にする要因になります。市場内流通の立場から見れば、必要な局面だけ市場外を活用し、状況次第で市場内へ戻す流れは、相場の振れ幅を大きくしやすい構造といえます。

本来、市場内流通は単なる受け皿ではなく、需給調整と価格形成を担う機能を持っています。そのため、相場が高い時だけ市場外を活用し、余剰感が出た時に市場内へ戻すのではなく、平時から市場内流通の中で継続的に数量を動かし、一貫して価格形成と需給調整を行っていくことが、結果として相場の安定につながります。市場内で継続して流通させることで、生産者にとっては再生産可能な価格の維持、流通にとっては数量把握と分荷の安定、販売側にとっては仕入れ計画の立てやすさにつながりやすくなります。

ただし、花は天候や開花状況に大きく左右される農産物であり、数量を正確に見通すことは難しいのが実情です。加えて、地方の過疎化による産地力の低下、都市部への需要集中、物流効率を優先した中央市場への集荷偏重も、市況格差を広げる要因となっています。そのため必要なのは、完全な見える化ではなく、産地・流通・販売が大まかな数量感を共有し、過剰な先回りや過剰集荷を抑えることです。

生産者、商社、市場は高く売りたい一方で、買い手は少しでも安く仕入れたいという構図にあります。しかし、花は保存性が低く、需要変動も大きいため、どちらか一方の理屈だけでは相場は安定しません。重要なのは、高値追求でも安値追求でもなく、生産者が再生産でき、流通が無理なく運び、販売側も売り切れる水準で着地させることです。

そのためには、予約で安定的に動かす数量と、相場で調整する数量を分けて考えることが有効です。生産者は出荷時期の分散や販路別配分を意識し、流通側は輸入予定、予約数量、市場入荷の総量感を共有し、販売側も全量を早取りするのではなく、基本数量を押さえたうえで追加発注を残す形が望まれます。完全な予測はできなくても、振れ幅を小さくする工夫を積み重ねることが、今後の相場安定につながると考えられます。

4月は大きく相場が動きにくい時期ではありますが、イベント提案、季節商材の切り替え、母の日準備を丁寧に進めることで、次の商戦への布石を打ちやすい月でもあります。足元の相場だけでなく、その先を見据えた売場づくりが求められます。

おすすめ商材

マーガレット「ドリームカシス」:ピンク芯に赤みのある表情が印象的で、春のやわらかさの中に少し深みを出せる品種です。

スカビオサ「フォーカルスクープ」シリーズ(山形・鶴岡):もこもこと咲くタイプで茎もしっかりしており、花束にもアレンジにも使いやすい商材です。

ブルーレースピンク(愛媛):繊細でやさしい春らしさを演出しやすい一品です。

コリアンダー(パクチー):草花らしい動きや香りの個性を加えたい時におすすめです。

レッドフラッシュシード:赤系の長いスウィーパーとして生けこみにもおすすめ。80〜90cmの長さとシックな赤が印象的です。

サラセニア:星形に見えるがくが長く楽しめ、葉のフォルムも個性的。母の日時期の提案商材としても面白そうです。

アマリリス「雅」(熊本):40〜50cmの国産赤系で、華やかさのある提案に向いています。

シャクヤク、コーラル系、さつき:来週以降、初夏への切り替えを感じさせる商材として注目です。

カンパニュラ(岩手、福岡、伊豆、千葉):やわらかな表情で提案しやすい品目です。

ガーベラ:4月18日のガーベラ記念日に向けて、色展開を生かした売場づくりに。

八重鉄砲ユリ「咲く八姫」:存在感があり、これからの季節のアクセントとしておすすめです。