市況レポートVol.340
2025.08.25
お盆需要期の入荷は潤沢で、小売・量販ともに売れ行きは昨年並みを確保しました。昨年は入荷減少により大田市場開場以来の最高値を更新し続けていましたが、今年は3月以降、例年並みの単価が続いています。お盆明けは高温抑制の影響で入荷が減少。小売の補充需要は一定程度あったものの、その後は酷暑の影響で消費が鈍く推移しました。小売店の中では、かき氷を販売するなど、集客の工夫を凝らすところも見られます。酷暑により、8月は例年以上に虫の発生が多発。検品・管理面での注意が必要です。
菊類(輪菊・小菊・スプレーマム)
お盆需要を経て相場は一段落。潤沢な入荷で落ち着いた展開となりました。秋田・福島など東北産を中心に安定出荷が見られましたが、高温抑制の影響で一部では入荷減少が発生。今後は秋彼岸を前に調整局面に入ります。
お盆期は、11・13日に中国産カーネーションやスプレーマムがフェリー便で入荷増大したことに加え、国産のリンドウ・小菊・輪菊も増加。消費者への販売は好調でしたが、小菊や中国産カーネーションは供給過多で暴落し、相場を大きく押し下げました。
バラ
国産は猛暑で輪が小ぶりになりやすく品質差が目立ちました。輸入は安定入荷で全体の相場を下支えしています。赤系統は堅調ながら、淡色系はやや軟調。産地別では関東・東海の高温リスクが影響しやすい状況です。
リシアンサス
夏を代表する切り花として引き続き安定需要。特に白・紫系はブライダルや装飾で人気が高く、熊本・秋田からの出荷が市場を支えました。ただし出荷はピークを越えつつあり、下旬以降は数量減少が見込まれます。
ヒマワリ
お盆明けで需要は一服し、相場は軟調気味に推移。長野・茨城などからの出荷は続いていますが、産地切り替えの時期を迎え、品質差が出やすい状況です。ブライダルや装飾での需要は継続しています。
季節草花(ケイトウ・アスター・グラジオラス・トルコギキョウ)
ケイトウは長野・愛知からの出荷が中心で、秋色需要に支えられて堅調。ただしお盆期はカーネーションと競合したことで相場が伸びず、値が付きにくい局面もありました。
アスターは福島・長野産を中心にお盆期に逼迫し、高値を維持。
グラジオラスは茨城産主体で供給が多く、相場はやや軟調。
トルコギキョウは熊本・秋田からの安定した出荷で、多様な品種が流通しました。
リンドウ
お盆需要期には岩手・長野産を中心に供給が逼迫し、相場が上昇しました。酷暑の影響で花焼けが発生しており、秋以降は減少する見通しです。
枝物・実物
サンキライやリョウブは茨城・長野産を中心に堅調。山形や愛知の実物(トウガラシなど)は高温抑制の影響で出荷が遅れ気味となっています。例年であれば秋の実物を使い始める時期ですが、今年はやや後ろ倒しになる見通しです。
おすすめ商材
パニカム染め:秋色のバリエーションが増加。グリーン、アイスブルー(水色)、ラベンダー、群青色、ピンク、赤、オレンジなど。久米ケイトウ染め:藤(紫)、黒柿色(渋い茶色)、紅桔梗(赤紫)。ドライにもおすすめできる新色展開。
9月の需要期に向けて相場は引き締まりが予想されます。ただし、リンドウは花焼けの影響で減少見込み。輪菊も高温で枯れロスが多く、秋の供給には不安が残ります。ダリアも高温でロスが多く、秋田産では長尺物の出荷が難しく40cm中心となる見通し。9月の需要期に向けてワレモコウの出荷は少なめ。10月のお月見需要を支えるススキも不足が懸念されます。台風や線状降水帯などの天候リスクを踏まえ、早めの手当てが推奨されます。
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