市況レポート Vol.332
2025.04.09
3月末、特に31日(月)の花き市場では、例年にない価格の急落が見られました。特にラナンキュラスは一桁台にまで値を落とし、菊類も大きく値崩れするなど、セリ場では処理しきれないほどの入荷が集中し、相場は混乱状態となりました。
この背景には、いくつかの要因が重なっていますが、とりわけ今年特有の問題として挙げられるのが「物流の2024年問題」の影響を受けているのではないでしょうか。2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の規制が強化されたことにより、長距離輸送が以前よりも難しくなり、各産地からの出荷が地方市場ではなく、東京や大阪といった中央市場に集中する傾向が顕著になっています。本来、各地に分散されていた花が、中央市場に集まり過ぎ、結果として需要を大きく上回る供給となったことで、価格の暴落を引き起こしました。
寒の戻りや降雪予報により、地方市場の動きが鈍くなり、さらに量販店は予約相対や直荷取引で取引を終えた商材が多く、小売店も予約や相対で取引を終えた商材が多く、セリへの参加者が限定的だったことも価格に拍車をかけました。
また、タイミングとして、お彼岸が終わり、卒業・送別シーズンの最終週にあたる時期でありながら、今年は31日は月曜日にあたったことが影響し、法人や学校需要の盛り上がりに欠けました。
3月末に出荷が集中したことにより、4月に入ってからは一部商材で出荷量の調整が始まっています。短いサイズの花などは、直売所や地元での販売へとシフトされ、出荷全体の圧縮が図られ相場が保たれています。
今後は、入荷量・単価ともに横ばいで推移するとの見通しが立っており、4月以降はアルストロメリア、バラ、草花類の入荷が増え動きが活発になっていくと予想されています。「4月18日はガーベラ記念日」にあたり、ガーベラは出荷の最盛期を迎え終盤に入ります。芍薬もすでに出始めており、特にコーラルチャームやサンセットなど、華やかなコーラル系品種に注目が集まりそうです。
今週のおすすめ商品としては、沖縄産のベージュ系フロックス(25〜30cm)や、白地に赤筋が入った国産アマリリス「雅」など、春の中でも個性が光る品種をご紹介しています。
母の日需要を控えたこの時期、季節の移ろいとともに、次の提案へと舵を切るタイミングになりそうです。
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